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”Any mind short&short #4"

2007-03-02
【出会いと別れ・ある男の場合】

 温暖化のせいなのかどうなのか分からないが、例年にない暖冬な今年はいつもより早い春を迎えようとしていた。
 一人の男がどうでもいいような時間を過ごしている。そのどうでもよさも温暖化のせいなのかどうなのかは分からない。

 男は深夜の再放送ドラマを見ていた。よくある学園モノのそのドラマはどうでもいいような内容であり、そういえば去年も再放送されていたものだ。若い男女が出会ったり、別れたり。そんなシーンの連続だ。三月を迎えていた。しかし部屋のカレンダーは二月のままだ。
 男は考えていた。もう春だ、と。いつもより確実に暖かかった今年の冬はもう終わった。テレビの中にはいつも色々な出会いと別れがある。そういえば誰かが言っていた。
「春といえば出会いと別れの季節だよね」
 男は思った。それは出会いがある人が言う台詞なんだと。出会いがなければ別れなんてないじゃないか。
 どうでもいい再放送ドラマはエンディング曲が流れ始める。一応最後まで見届けると男はデスクに向かった。先日行われたアカデミー賞をチェックするためにパソコンの電源を入れる。
 ディカプリオはつくづくオスカーに縁がないんだなあ、などと思いながらマウスを動かしていく。そういえば俺って今までの人生で賞なんてものを取ったことがあっただろうか。それから男は考え事を始めた。

「春といえば出会いと別れの季節だよね」

 このフレーズが頭の中から離れない。思わずクシャミが出る。三回も続けてクシャミが出た。慌ててティッシュで鼻を押さえる。その時、男は閃いた。自分にまつわる出会いと別れを。春になると出会い、そして別れるものが自分にもあった。それは花粉症だ。幼少時から花粉症を持っている男はいつも春になると決まったように花粉症になる。そして春の終わりと共に花粉症と別れるのだ。男は何故か嬉しくなった。どうでもいいような事を閃いた自分を褒めてやりたい気分になったのだ。男はメモ帳を取り出した。紙の真ん中あたりに何やら書き始めた。

『花粉賞』

 男は自分で書いたその造語を見て満足気に頷いた。パソコンのモニターに写る華やかなハリウッドスター達。彼らが手にしたのはアカデミー賞、しかし私も賞を手にしている。それは「花粉賞」だ。あまりのどうでもよさに男は笑いが止まらない。ついでにクシャミがまた出る。今度は二回連続だ。きっと彼はこれからも毎年のように「花粉賞」にノミネートされるだろう。
 
 春は出会いと別れの季節であり、世の中には色々な出会いと別れがある。このどうでもいいような男にでも、こういった形で出会いと別れがあることに気付いた。人は皆、出会いと別れを無意識のうちに繰り返しているはずだ。

【an author tsukasa nakae】
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